Cisco 1111-4P ルーターは、中小規模のオフィス環境に最適なコンパクトルーターで、セキュリティ機能や拡張性を兼ね備えています。
本記事では、このルーターの基本的な構築手順について、初期設定からネットワーク接続までを解説します。
初期準備
Cisco 1111-4P を構築する前に、必要な機器と情報を準備します。
必要なもの
1) Cisco 1111-4P 本体
2) 電源ケーブル
3) コンソールケーブル(RJ-45 または USB タイプ)
4) 設定用 PC(ターミナルソフトインストール済み、例:Tera Term, PuTTY)
5) ネットワーク構成情報(IP アドレス、サブネットマスク、ゲートウェイ、DNS など)
機器接続
1)ルーターに電源を接続し、起動します。
2)コンソールケーブルをルーターと設定用 PC に接続します。
3)必要に応じて、PC をルーターの LAN ポートに接続します。
コンソール接続と初期設定
PC のターミナルソフトを使用して、ルーターの初期設定を行います。
ターミナルソフトの設定
ターミナルソフトを起動し、以下の接続パラメータを設定します。
通信ポート
コンソールケーブル接続先のポート(例:COM3)
・通信速度:9600 bps
・データビット:8
・パリティ:なし
・ストップビット:1
・フロー制御:なし
初期設定の実施
ルーターが起動し、> プロンプトが表示されたら、特権モードに移行します。
Router> enable
初期セットアップウィザードが起動した場合、必要に応じて「No」でスキップし、手動で設定します。
グローバルコンフィグモードに入ります。
Router# configure terminal
基本ネットワーク設定
ホスト名の設定
ルーターのホスト名を設定して識別しやすくします。
Router(config)# hostname MyRouter
MyRouter(config)#
インターフェースの設定
必要なインターフェース(例:GigabitEthernet0/0/0)に IP アドレスを割り当てます。
MyRouter(config)# interface GigabitEthernet0/0/0
MyRouter(config-if)# ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
MyRouter(config-if)# no shutdown
MyRouter(config-if)# exit
他のインターフェースも必要に応じて設定します。
デフォルトルートの設定
ネットワーク全体のゲートウェイとなるルートを設定します。
MyRouter(config)# ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.1.254
セキュリティ設定
コンソールパスワードの設定
不正アクセスを防ぐためにパスワードを設定します。
MyRouter(config)# line console 0
MyRouter(config-line)# password Cisco123
MyRouter(config-line)# login
MyRouter(config-line)# exit
VTY(リモートアクセス)の設定
Telnet または SSH 用のリモートアクセスを有効化します。
MyRouter(config)# line vty 0 4
MyRouter(config-line)# password Cisco123
MyRouter(config-line)# login
MyRouter(config-line)# exit
SSH の有効化
ドメイン名を設定します。
MyRouter(config)# ip domain-name mydomain.com
暗号化キーを生成します。
MyRouter(config)# crypto key generate rsa
SSH のみを許可します。
MyRouter(config)# line vty 0 4
MyRouter(config-line)# transport input ssh
MyRouter(config-line)# exit
設定の保存
設定を保存し、再起動後も有効にします。
MyRouter# write memory
動作確認
インターフェース状態の確認
MyRouter# show ip interface brief
ネットワーク接続確認
他のデバイスとの接続を確認するため、ping コマンドを使用します。
MyRouter# ping 192.168.1.254
以上で、Cisco 1111-4P ルーターの基本的な構築手順は完了です。
この設定を基に、さらなるカスタマイズや高度なネットワーク設定を行うことで、環境に適したルーター構成を実現できます。
続けてライセンスを有効化
Cisco 1111-4P ルーターでは、特定の機能(セキュリティ、アプリケーション最適化など)を使用するためにライセンスが必要です。
ここでは、ライセンスの有効化手順を解説します。
必要な情報の確認
ライセンスを有効化する前に、以下の情報を準備します。
必要なもの
Cisco Smart Account:Cisco ライセンスを管理するアカウント(未作成の場合は Cisco の公式サイトで作成してください)。
ライセンス契約情報:購入したライセンスの情報(例:ライセンスキー)。
ルーターの UDI(ユニークデバイス識別子):show license udi コマンドで確認できます。
ライセンスの登録
Cisco Smart Licensing を使用してライセンスを登録します。
ステップ 1:ルーターの Smart Licensing を有効化
グローバルコンフィグモードで Smart Licensing を有効化します。
Router# configure terminal
Router(config)# license smart enable
Router(config)# exit
ライセンス状態を確認します。
Router# show license status
ステップ 2:ルーターを Cisco Smart Account に登録
登録用 URL を確認します。
Router# license smart register idtoken
※ は Cisco Smart Account ポータルで発行したトークンを入力します。
成功メッセージが表示されたら登録が完了です。
ライセンスのアクティベーション
登録後、必要なライセンスをアクティベーションします。
ステップ 1:利用可能なライセンスの確認
利用可能なライセンスを確認します。
Router# show license all
ステップ 2:ライセンスの有効化
ライセンスをアクティブ化します。
Router# license smart activate <ライセンス名>
ステップ 3:有効化されたライセンスの確認
有効化が成功したか確認します。
Router# show license status
ライセンスの管理とトラブルシューティング
ライセンス使用状況の確認
現在のライセンス使用状況を確認します。
Router# show license usage
ライセンスの再登録
登録に問題が発生した場合、再登録を試みます。
Router# license smart deregister
Router# license smart register idtoken
トラブルシューティング
ライセンス関連の問題が発生した場合は、以下のコマンドで詳細情報を確認してください。
Router# show license status
Router# debug license
オフライン環境でのライセンス有効化
インターネット接続がない環境では、Cisco の「PLR(Permanent License Reservation)」機能を利用します。
UDI を取得します。
Router# show license udi
Cisco サポートポータルでオフラインライセンスをリクエストします。
ライセンスを適用します。
Router# license smart reservation install file <ファイル名>
これで、Cisco 1111-4P ルーターのライセンス有効化は完了です。適切にライセンスを管理し、ルーターの機能を最大限活用してください。