Windows環境で仮想ホストを構築する場合、どのような構成でライセンスはどのような数と種類が必要となるのか。
昨今ライセンス体系がどんどん複雑化するため一例を作成してみました。
システム構成の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仮想ホスト | 2台(レプリケーション構成、Hyper-V使用) |
| ストレージ | 共有ストレージをSMB/iSCSIでマウント |
| 冗長化方式 | Microsoft Failover Cluster |
| 仮想ゲスト | Windows 11 Pro / Enterprise × 40台 |
| ハイパーバイザー | Hyper-V(Windows Server上) |
Windows Server ライセンスの基礎知識
Microsoftは物理コア単位でライセンスを課金し、仮想マシンの数により必要なエディションが異なります。
ライセンス前提ルール
ライセンス単位:1物理サーバーごとに最低16コア分必要
Standard版:2台の仮想OS権が含まれる(超える場合は追加ライセンス)
Datacenter版:仮想OSの数は無制限
Standard vs Datacenter の比較
| 比較項目 | Standard Edition | Datacenter Edition |
|---|---|---|
| 含まれる仮想OS数 | 2台まで/16コアライセンスごと | 無制限 |
| ライセンス追加の必要 仮想OS | 2台ごとに追加ライセンス要 | 不要(最初から無制限) |
| コスト | 安価 | 高価 |
| 冗長化対応 | 対応(ただしVM数増加時に課金増) | 高可用性構成向け |
| Live Migration対応 | 対応 | 対応 |
仮想ゲストが40台の場合のライセンス試算
Standard Editionで構築する場合
1ライセンス(16コア)で2VM →
40VM ÷ 2 = 20ライセンス分(×2台のホスト) = 40ライセンス分
Standardライセンス16コア×20 = 非常に高額に
→ 現実的でない。Standardは少数VM向き
Datacenter Editionで構築する場合
各ホストに 16コア分のDatacenterライセンスを1セットずつ
→ それだけでVM数無制限
つまり、Datacenterなら「2ライセンス分」で40VMを完全カバー可能
Windows 11 仮想クライアントのライセンス
方法①:Microsoft 365 E3 / E5(推奨)
Windows 11 Enterprise + 仮想デスクトップ権(VDA)を含む
1ユーザーで最大5台まで仮想マシン利用可能
例:40VM → 最低 8ユーザー分のM365 E3/E5ライセンス
方法②:Windows VDAライセンス(サブスクリプション)
主に「物理PCなし(シンクライアント利用)」時に使う
1デバイスにつき1契約が必要
ライセンス構成のまとめ
| 項目ライセンス内容推奨 | ||
|---|---|---|
| 仮想ホスト2台 | Windows Server 2022 Datacenter x 各16コア | ◎(Standardは非推奨) |
| 仮想ゲスト40台 | Microsoft 365 E3/E5 x 8ユーザー or VDA | ◎ |
| クラスタ構成 | Windows標準機能で追加コスト不要 | 〇 |
★結論とおすすめ構成
仮想マシンが40台規模となると、Windows ServerはDatacenter Edition一択です。初期コストはやや高いものの、将来的なスケーラビリティや管理効率が大幅に向上します。
ゲストとして稼働するクライアントの数によってライセンスの計算は大きく異なります。
仮想基盤となるホストのCPUのコア数をよく確認してライセンスを計算し、コスト削減を心がけましょう。

