確変を起こす領域
前回のAIのキホンのキを読んで頂いて、”なるほどこういうものか”、という大枠は捉えて頂けてると嬉しいです(^^)筆者自身もそのレベルですが、研究者じゃないのでそれで十分だと思ってます。
今回は、誰もが最も興味ある、AIが我々の生活に”確変”を起こす領域について書いてみたいと思います。
①病理診断
現状のAIが最も得意にしているのが、「画像解析」です。農作物や工業製品の検品、ふるい分けなどで既に十二分に活躍していますが、より確変を起こすと思われる分野が、病理診断です。
癌細胞、ポリープ等の発見は、胃カメラ、内視鏡、病理検体の顕微鏡写真を、病理医が目視で判断します。経験豊富な病理医とはいえ、しょせん人間です。作業時間に限りはあるし、疲れからの見落としなどは無いとは言えないでしょう。しかも病理医は非常に希少で、全国で2400人程度と言われています。
癌細胞、ポリープがある画像(正解)と、問題のない画像(不正解)をAIに喰わせて、ディープラーニングさせれば、精度の高い発見システムが作れるだろう、ということは予想がつきます。
ただ注意しなければならないのが、機械診断に頼り切ることです。
大量処理のふるい分けに使い、最後は人間が判断する、という使い方が望ましいでしょうね。
②建築物の補修点検
高速道路、橋、トンネルなど、劣化して崩落など発生したら惨事を起こすような建造物の点検に、①と同じように画像解析AIが活躍するでしょう。この分野で面白いのは、画像収集にドローンを使い、人間では作業しづらい場所にも自由自在に入り込む技術、手法が確立されつつあることです。
人間を使うと作業も大変、コストもかさむ収集作業が、ドローンを使うことで圧倒的な時間、費用の削減を実現します。人間頼りだと3年に1回しかできなかったことが、もっとこまめにやることができます。おまけに、収集した画像をもとにした診断の精度も上がる。言うことなしです。
③車の自動運転
自動運転という概念は、AI以前の早い段階からあったようですが、進化を確変させたのは、間違いなくAI技術との融合です。車の自動運転がAIとどう絡んでいるのかを説明していきましょう。
https://jp.micron.com/in-japan/articles/2018/december/on-the-road-to-full-autonomy
「認識・判断・操作」が運転の3要素と言われています。
”認識”とは、道路標識や歩行者、対向車や駐車中の車といった自動車の周辺状況を把握することです。
”認識”で得られたデータを分析し、自動車が通過すべきルートを”判断”することで予測します。
そして、その”判断”を経て、自動車を”操作”します。
3つのプロセスの中で要となるのが、”認識”です。障害物などを認識し、走行可能なルートを認識しなければならない。この認識プロセスで利用されるのが、まさにAI、ディープラーニングです。①②の例でもあるように、得意な画像解析です。
この技術だけでは、自動運転は実現しません。上記の3プロセスをリアルタイムで実現する、高速なCPUとメモリ、大量のデータを蓄積し、かつ高速に読み書きするストレージ、要はスーパーコンピュータみたいなマシンを搭載している必要があります。
ネットニュース等で、皆さんも見聞きしていると思いますが、レベル4まではほぼ実現できているのです。技術的にはゴールが見えていますが、道交法等の人間が利用する上でのルール決めが追いついていないのが現状です。2025年までにはレベル4、2030年までにはレベル5の実現が見込まれており、感覚的には早まるように思います。
・交通渋滞の緩和(解消)
・ドライバー不足の解消
・過疎地での輸送手段の確保
・長距離トラックの隊列走行(輸送手段の拡大)
などなど
我々の行動基準を変え、経済活動に大きなインパクトを与えること間違いないでしょう。SF映画さながら、地面を走るのではなく空を走る光景もそんなに遠い未来では無いと思います。(^^)v
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