”AI”というワードが、フツーに語られるようになったのはここ4,5年のこと。
(日本では。ちなみに日本は、AIに関しては後進国のようです。残念ながら。)
2016年の流行語大賞に”AI”がノミネートされたのは、2016年。
フツーに会話の中に出てくるワードになりましたが、どれくらい実際の内容に関して
理解されているのか、非常に怪しいものです。
実際、IT業界に携わって30年以上の小職もその一人です……お恥ずかしいですが……(^^);
コンピュータの凄いやつで、人間の仕事を奪う脅威、というのが一般コンセンサスかな?
と思います。
そこで、自分の勉強も含めて、”AI”をかみ砕いてみようかと思い立ったのが、今回の記事です。
真の専門プロから見たら、そりゃ違う!ということありましたら、ドシドシご指摘ください。
こちらも勉強になりますので。(^^)
まずは、簡単にAIの歴史を振り返ってみます。
現在のブーム以前に2回もあったんですね。
筆者もIT業界に就職して、第二次ブームを横目で見ていました。
人工知能にプログラミングさせる研究をしていましたね。
そんなことできるのかい?と、対岸から見ていましたが、バブルが弾けて
それどころではなくなりました……
出展:総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)
リンク:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc142120.html
時は流れ、バブル、リーマン、大震災を経験し、今回のブームがやってきました。
今回のブームが今までと違い、定着しているのは、
①コンピュータ性能の飛躍的進化
②人間の脳の研究成果
この2点が重要な要素だと考えます。
以降の章でお話しする、AIたらしめる働きを実現した技術、「機械学習」、「ディープラーニング」は、この2要素あってこそだからなのです。
人間の脳内の伝達は、電気信号で行われているのです。目で見たものをリンゴと認識するメカニズム(脳内の信号伝達の仕組み)が明らかになってきたことで、それをコンピュータ上に実装できるようになったわけです。
AIと一般ソフトウェアの違いとは
AIと呼ばれるものと、一般的なソフトウェアプログラムの違いは何だと思いますか?
一般的なソフトウェアは、全て人間が処理の流れ、結果を定義して、特定のタスクを処理するものです。一方AIは、膨大なデータを与えられることでルールやパターンを自ら学習して、特定のタスクを高い精度でこなすことができるようになるものです。
つまりAIは、結果に至るプロセスに人間が関与していないのです!
機械学習、ディープラーニング(深層学習)とは
機械学習とは、膨大なデータをもとにコンピュータがルールやパターンを学習する技術を指します。
データによりトレーニングを行うことで、特定のタスクを高い精度でこなせるようになります。
機械学習では原則として、人間が“特徴量”を選択する必要があります。特徴量とは、コンピュータが物事を認識する際に基準とする特徴のことを指し、リンゴの画像認識においては「色」「形」などが特徴量の一つとして考えられます。その画像に写っているものが赤色であればリンゴの特徴に該当しますが、紫色であればリンゴとは言えず、この色によってリンゴかどうかを判断するといった具合です。
コンピュータが機械学習でリンゴについて学習するためには、参考にすべき特徴量を人間が選択します。例えば、赤リンゴと青リンゴの分類を学習させたい場合、「形」の特徴量を参考にすると上手く分類することは難しいかもしれません。そこで「色」を参考にすると人間が特徴量を指定することで、コンピュータは赤リンゴと青リンゴの特徴を学習し、分類できるようになります。
この「特徴量の選択」という人間の作業を取り払ったのが、ディープラーニングです。
ディープラーニングでは与えられたタスクに対し、どの特徴量を参考に学習すればいいのかもコンピューター自身が判断します。上記の赤リンゴと青リンゴの分類においては、色を参考にするのか形を参考にするのか、人間が指定せずとも「色が参考になる」と判断し、正確な分類を学習していきます。
ディープラーニングは人間の作業量が少なく、その上で従来の機械学習よりも高精度な判断を行えるようになる点がメリットです。また、色などの分かりやすく言語化しやすい領域よりも、言語化しにくく人間では区別が難しい領域で大きな力を発揮すると言われています。
例えば、農家が経験によって振り分けるしかない農作物の等級の分類に関して、ディープラーニングを用いて分類を自動化する試みが行われています。等級や傷の有無など、品質の判断は赤リンゴと青リンゴの違いのような簡単なものではありませんが、ディープラーニングを活用すれば高精度な自動分類により業務効率化を進めることも期待されています。
参考:Laboro.AIコラム/機械学習とディープラーニング(深層学習)の違いとは
リンク:https://laboro.ai/activity/column/laboro/la-ai-deeplearning/