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オンプレミスからAWSクラウドへの移行の勘所

オンプレミスからAWSクラウドへの移行勘所

初めまして、駆け出しエンジニアのネンザです。
これから第2回に亘り、シリーズ『オンプレミスからAWSクラウドへの移行勘所』について執筆させていただきます。

第1回は『AWSとコストダウン』について言及させていただきます。
さて近年、オンプレミス(≒自社サーバ)からクラウド化を推進する企業が増加していますが、一体、AWSクラウドとはどういったサービスなのか、また、本当に料金は安くなるのか見ていきましょう。

1.AWS(Amazon Web Services)とは

Amazonが提供している200以上のクラウドコンピューティングサービスの総称です。
インターネットを通してサーバやデータベース、ソフトウェアなどの様々なサービスを利用することができます。誤解しやすいのは、AWS=クラウドではなく、クラウドも含めたサービスの総称をAWSという点がポイントです。また、AWS利用料金は、使った分だけ料金が加算される従量課金制となっています。

2.AWSのメリット・デメリット

メリット

・上手く利用すれば低料金(従量課金制)
・管理運用をAWSで行うため、人的リソースが減る 
・自社でのメンテナンスが不要
・セキュリティが高い
・柔軟性や拡張性が高い
・データ障害に強い
・様々なサービスが活用できて運用が簡単

デメリット

・料金が変動費である
・メンテナンスに伴うダウンタイムがある
・互換性の問題がある可能性

このように多くのメリットがあり、クラウド化に興味が沸いてきたのではないでしょうか。

もちろん、オンプレミスにしかないメリットもありますので、企業様ごとの経営戦略に合わせて導入可否を検討されるとよいかと思います。

3.AWS導入フローについて

AWSの導入には、事前調査~計画と実施~切り替えの3つのステップに大別されます。
特に重要なのは「事前調査」であり、目的・範囲・期限といったゴール設定を明確にすることで余分なコストを省くことができます。

・なぜ移行をするのか?(目的)
・移行するデータはどこまでか?(範囲)
・いつまでに移行するのか?(期限)

を考えていきましょう。システムやサービスの棚卸しをしっかりと行うことで、移行計画を立てやすくなりゴールまでのステップが明快になります。

4.コストダウン(スペックと移行データ)

AWSではサーバのことをインスタンスと呼び、サーバ性能をインスタンスタイプと言います。インスタンスタイプによって料金が異なりますので、vCPU数やメモリサイズ、ディスク容量を適切に設定することが大切です。事前調査では、どういった用途に使うのか、その用途に最低限必要なスペックはどのくらいかを計算しましょう。

インスタンスタイプによる移行時のコストダウンについては、移行するデータの選別が重要となります。データの抽出、移行の必要性を検討し、データによっては削除や移行しないという判断を行っていきましょう。尚、スペックの不足時には、オンプレミスでは難しい性能の増減を、AWSでは後から簡単に行うことができます。

5.コストダウン2(トラフィックとサーバ稼働時間)

オンプレミス利用ではあまり意識していないところでいえば、通信量(トラフィック)やサーバ稼働時間かと思います。AWSではこれらの利用時間にも料金が掛かりますので、アクセスが減少する時間帯を把握して計画的な稼働停止を行うことでコストダウンを図ることが可能です。
例えば、社内向けサービスなどで深夜帯には使用しないケースでは、その時間のインスタンスを停止し、サーバ稼働時間を減少させることができます。
また、経理システムなどで月の決まった日にアクセスが集中し、トラフィック量が増加するケースでは、計画的なインスタンスタイプの変更によって快適に利用することができます。

このように、インスタンスタイプの変更はスケーリング(スペックの増減)だけではなく、
トラフィックやサーバ稼働時間に対応していくことで、更に賢く利用していきましょう。

6.さいごに

AWSへ移行する企業が増える一方「脱クラウド化」をする企業もあります。導入当初の段階でクラウド化の必要性評価が甘かった。ないしは、経営上の変更があったかと推察されますが、いずれにせよ、脱クラウド化には多大な時間と費用が掛かることは想像に難くありません。中には、課題が多く脱クラウド化を泣く泣く断念する企業もあるようです。

クラウドの利用料金は年々低下しており、サービスも日々進化していることで、導入までの敷居は低くなってきています。しかし、コストが安くなることだけを理由に移行するのはいかがなものかと感じました。

現在、移行をお悩みの方も「本当に安くなるのか?」という点だけでなく、AWS導入によるメリット・デメリットを把握し、サービス活用の観点から慎重に検討してみてはいかがでしょうか。次回は『AWSの強みと移行時の注意』をテーマに執筆を予定しています。お楽しみに。